読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

おばちゃん、お母さんになる。4

「受け入れ先の病院が決まりました。〇〇医大です。

救急車がきたら、搬送しますからね」

先生がきて、そういいました。

思わず、食い気味で聞いていました。

「先生、34週で、赤ちゃんは大丈夫なんでしょうか?」

「絶対とは言えませんが……。

体重も推定2200ありますし、34週なら肺もできているはずです。

大丈夫ですよ」

よかった……。

初めて、深い息ができた気がしました。

 

そこに、夫と母が入ってきました。

点滴につながれている私を見て、母が一瞬ハッとした顔を

して、私の名前を呼びました。

先生は先ほどと同じように受け入れ先病院が決まったこと、

救急車で搬送をすることをふたりに告げてくれました。

「救急車は早いので、先に病院に向けて出発したほうが

いいでしょう。地図をお渡ししますので」

「私が付き添いをします」

看護師さんが言うと、母が頭を下げました。

「お願いします。……それじゃあ、先に行ってるからね」

「大丈夫だよ」

夫がもう一度、そう言ってくれました。

「うん……ごめんね」

 

救急車、救急車かあ、乗るなんて思ってなかった。

というか、人生で乗る羽目になるとは思ってなかった。

ストレッチャーで運ばれながら、少しだけ余裕が出てきました。

病院の待合室の中を、救急隊に運ばれる自分を客観的に見て、

(お騒がせして申し訳ないなあ)などと、ぼんやりと思いました。

そして、何度か検診に向かった時、

救急車が病院の前にいたことを、ふっと思い出しました。

(こういう人が、他にもいるんだろうな)

私だけじゃない、ということが、

今の現状の慰めになるわけではないけど。

 

救急車の中は、思ったよりも広く、

思ったよりも狭かった、気がします。

そしてサイレンがさぞやうるさいんだろうと

思っていたんですが、そうでもなかったです。

それよりも、いれられた点滴の針が、

血圧を測られるたびに痛くて痛くて、それがつらかった。

左手の点滴の針がなかなか入らず、

痛みはあるものの苦労する看護師さんを見ているうちに

「大丈夫です」と言ってしまっていたのです。

 

そして、もうひとつのものが私を苦しめていました。