おばちゃん、お母さんになる。2
実は私、そこそこ太っています。
おばちゃんという見出し通り、アラフォーです。
母親は糖尿病で、父方の祖母も重度の糖尿病。
妊娠中、自分に糖尿病の因子があることは
自覚していたので、必死で節制していました。
(もっとも、つわり中に菓子パンしか受け付けなくて
血糖値の数値が悪く結局食事指導を受けることにはなりました…)
その結果、9か月目に入っても体重は妊娠前から1キロ増。
デブだから問題ないとはいえ、それでも病院では
「節制頑張ってるね。この調子でね」
と褒められていました。
だから、まったく予想していなかったのです。
……血圧、180/105?
この時は、「測り間違えたかな?」と
再度計測。下がったけど、157/98。
でも、まだのんきでした。
「なんか血圧すごく高い。先生に怒られちゃうかな。
この前ラーメンなんか食べたのがいけなかったのかな」
夫にいうと、
「180って……ちょっと高すぎるんじゃないの?
大丈夫?」
「うーん、大丈夫じゃない。今日から薄味じゃないとね」
などと言っていたら、看護師さんが焦った様子でやってきました。
「ちょっと血圧が高いみたいなので……
こちらで計測してみましょうか」
あれ……と思いました。
にこにこしていつもの優しい顔だけど、なんだか緊張している。
看護師さんが手動で血圧の計測をしてくれましたが、
私は徐々に「なんか……やばいのかな……」と不安になりました。
そして、いつもと違う診察室に呼び出され、
エコー診察。
「赤ちゃんは元気ですねー」
ホッ……。
「推定2200グラム」
育ってきたなあー。
などと、思えたのは、そこまででした。
「お母さんの血圧が、高すぎですね。
頭が痛いとか、目の前がチカチカするとか、何かありませんでしたか?」
「え?ありません……」
「……このままだと、お母さんの体が危険です。
いま赤ちゃんを産んでしまわないと、
妊娠高血圧症で脳内出血をする危険性があります」
「……」
いまいち、ピンときていませんでした。
いわれていることはわかるけど、「いま」何をするの?
「受け入れ先の病院を探しますので、少し待っていてください。
見つかり次第緊急搬送しますので。その前に内診をしましょう」
「あ……はい……」
内診、じゃあ、ジーンズと下着を下ろさないと。
やらねばならないことがわかって、やっと脳みそが動きました。
でも、まだ動いていません。何を探して、何をするんだっけ?
内診のため診察室から出されていた夫が、
診察室から出た私を見て「大丈夫」と言ってくれました。
「うん……お母さんに連絡してくれる?」
「わかった。……赤ちゃん元気だから大丈夫」
「うん」
何が大丈夫なんだっけ?
まだ、私は何が起こっているのか、遠くに感じていました。